梯子乗り
梯子乗りの道具
梯子乗りに使われる梯子は高さ6.5m、横さんが15本の甲(足をのせる横木)からなり、真新しい青竹で作られています。この梯子を僅か12本の鳶口にて支えています。
安定を保つためには、揺れ動く梯子での演技者と下で梯子を支える者との技術プラス呼吸が決め手となり、結束の固さが妙技を生み出す秘訣といえるでしょう。
梯子乗りの技
梯子乗りの技は大きく分類すると頂上技・返し技・途中技・わっぱ技の4つあります。
各分類の中にはそれぞれ役8種類ほどの技がありますが、頂上技から返し技・途中技から別の途中技等、演技を連続的に行うので技の組み合わせは数多く存在します。さらに一つの梯子に複数人で登り同時に演技を行う合わせ技などもあります。
ここからは梯子乗りの代表的な技を一つずつ紹介していきます。
頂上技
一本八艘
(いっぽんはっそう)
右膝を左灰吹にのせ、左手は右灰吹を持つ。右膝を爪先にすると爪掛一本八艘。
二本八艘
(にほんはっそう)
右膝を左灰吹きにのせ、左足首を右灰吹の中程に掛け、両手を揃え灰吹を叩いて腕を広げる。爪先にすると爪掛一本八艘。
唐傘
(からかさ)
右膝を左灰吹の上にのせ、灰吹を叩いた後傘を開いた様な状態にする。
爪掛唐傘
(つまかけからかさ)
左灰吹に右爪先をのせ、唐傘の要領で手を開く。
両膝唐傘
(りょうひざからかさ)
両方の灰吹に膝をのせ唐傘の要領で手を広げる。
一本遠見
(いっぽんとおみ)
灰吹の上に尻をのせ、右足を灰吹にからませ左足を膝の上にのせる。
二本遠見
(にほんとおみ)
灰吹に大腿部の裏側を順に乗せ、手を叩き左右に開き同時に左足を伸ばす。
達磨遠見
(だるまとおみ)
二本遠見から左足を戻し小手をかざして遠くを見るようにして肝潰しで落ちる。
裏肝潰し
(うらきもつぶし)
両手を足の下に廻し、身体を浮かせ抱き甲に落ちると同時に上体を下げつつ両手両足を開く。
狐遠見
(きつねとおみ)
抱き甲に立ち左灰吹に尻をのせ右足を内側からからませ、左爪先を右灰吹の上にのせ両腕を上向きに開く。
枕邯鄲
(まくらかんたん)
右灰吹に腹の中心をのせ左右の灰吹の外側から右手首と二の腕でからみ頭を横正面に向けて、左手と両足を同時にのばす。
鯱
(しゃち)
梯子の内側に右肩を当て膝を曲げたまま逆立ちに入り、逆立ちがきまったら両足首で叩き開脚する。
返し技
二本背亀
(にほんせがめ)
灰吹に首をのせ安定したら手を叩き、両手両足を同時に開く。
背亀
(せがめ)
二本背亀から首をはずし、完全に静止したら両手両足を亀が泳ぐように動かし肝潰しで落ちる。
肝潰し
(きもつぶし)
灰吹の間に恰も墜落したように落ち、抱き甲に腰がつくと同時に開脚し上体を下げ手を叩き広げる。
屋形返し
(やかたがえし)
二本腹亀から灰吹をつかみアゴを外し、落ちるのと同時に両足を開き前方の灰吹きに尻の割れ目を当てる様に回転する。
二本腹亀
(にほんはらがめ)
鯱から右の灰吹の上に腹を乗せ左の灰吹の上にアゴを乗せバランスの取れた所で灰吹を叩き、両手を左右に開く。
手斧掛け
(ておのがけ)
腕だめより両足の甲を灰吹きの上に掛け、右手で駒をつかみ左手で駒を叩き前方に突き出す。
駒散らし
(こまちらし)
肝潰しより両手で灰吹を握り両膝の裏を灰吹の上にのせ、安定したら両手を広げる。
途中技
膝留め
(ひざどめ)
駒の間に右足を入れ膝を曲げ、上体を徐々に倒し支えていた左足を駒からはずし手を叩き両手を広げ左足も上に向け開く。
唐草
(からくさ)
体を下に向け右足を抱き甲の下端に絡め、左足を四段目の駒に置き体を起こし顔を上げ両手を水平に開く。
腕溜め
(うでため)
体を地面と水平になるように保ち、両足首を叩いてから開く。梯子乗りの入門となる技でこの技から訓練するのが一般的。
谷覗き
(たにのぞき)
腕溜めから駒と駒の間に両足を入れ足を掛け下を向き、両手で駒を叩き体を反らして両腕を伸ばす。
駒ぜり
(こまぜり)
側面から左足を絡め右足を駒内側から駒下当て突張り安定したら手を放し仰向けに体を倒し、手を叩いて両手を開く。
胴鯱
(どうしゃち)
右腕を駒の正面から親ごを抱え込むようにして外駒を握り、左親ごの外に出るまで体を反ったら両足首を叩いてから開く。
足絡め
(あしからめ)
胴鯱から元に戻りながら両足首を左親ごに絡め、安定したら手を放し体を仰向けに倒し手を叩いて広げる。
わっぱ技
つぼ腕溜め
(つぼうでだめ)
右親ごに取り付けたかなびき(つぼ)に右手を差入れ、三段目の駒を握り逆立ちに入り安定したら両足首を叩き開く。
かなびき一芸
(かなびきいちげい)
かなびきに片足が入ったらもう一方の足は甲を押すようにし両手を広げ上大の字にする。
途中邯鄲
(とちゅうかんたん)
かなびき一芸から体を横向きにかえ下側の腕は手枕にし、上側の腕を斜め上に伸ばす。
谷覗き
(たにのぞき)
途中邯鄲からさらに体の向きを下方向に変え、両手を広げ下向きの大の字にする。
逆さ大の字
(さかさだいのじ)
かなびきに差した足を反対側の足と同じ角度にし、竹からなるべく遠く離れるようにする。
達磨返し
(だるまがえし)
つぼ腕溜めからつぼに差し入れた手を中に両手を揃えてのせ、頭を巻き込むようにでんぐり返り両足と腰を直角にする。